viagra 11月3日(後半) バスに乗る勇気がないため、クリニカス駅からタクシーでメストリの道場へ向かうことにする。言葉が使えないとこんなにも大変だとは思わなかった。タクシーを拾って、黙
って道場の住所が書かれたメモを運転手に見せる。「Ta bom?(いい?)」と訊いたら、向こうも黙って親指を立ててくれた。出発したはいいけれど、運転手は何度もとメモと風景を見比べてい
た。非常に不安になる。道場を通り過ぎようとしたため、「Este!」と慌てて言うけれど止まってくれない。意味が通じていない(使い方が間違ってる)んだから当然だ。語彙を増やさなきゃいけない、と反省。
道場ではすでにメストリが待ってくれていた。「何がしたい?」と
日本語で聞かれる。意味もなく慌ててしまった。結局、最初は楽器の練習になった。
ビリンバゥかなと思っていたら、メストリが用意したのは大太鼓と小太鼓。ポルトガル語ではなんと言うのか分からないけれど、少なくともカポエイラでは見たことがない。戸惑いながらも、叩き方を教わる。
その後メストリ1人に対して日本人2人という、個人レッスンに近い形でカポエイラの手ほどきを受ける。凄く贅沢なことだけれど、逆に手が抜けない。ジンガの基本を直され、メイア・ルーアの高さを指導され、手の使い方を指摘された。メストリ・ブラジリア版のセクエンシアも教えられた。僕が日本で学んだものとは少し違って、それがまた楽しかった。
5時過ぎに道場をでて、久との待ち合わせ場所ヘプブリカへ向かうことにする。Cordao de Auloのカポエイラがあるので見学するのだ。しかし道場の住所はよく分かっていない。タクシーで近くまで行くことはできたけれど、そこから少し道に迷う。外国の夕暮れで道に迷うのは心細い。久の携帯電話がつながったときは正直ホッとした。
すでに道場では何人かが練習を始めており、久もそれを見学していた。Cordao de Auloのスタイル、どこかで見たことあるな、と思っていたら「アバダに似てるね」言われた。ジンガや避け方は、確かにそっくりだ。動きは結構早くて、ケイシャーダやベンサゥンを黙々と繰り出していく。あごを狙ったスカルピオンの練習を見たときは危険だな、と驚いてしまった。実際、蹴りを避けきれなかった時は大きな音が響いていた。
その後同団体のメストリが登場。久と親しげに挨拶を交わしている。結構派手なジョーゴが見られるのではないかと期待していたら、
僕たちもホーダに参加するらしい。無理だろう、ヤバイだろうと青くなる。僕より華奢でかわいらしい女の子がいたが、平然とアクロバットの練習をしていた。こんなレベルの人たちとどう渡り合えというのか?トーキは結構速く、僕は回るだけで精一杯だった。一方、Cordao de Auloの人たちは笑顔でジョーゴをしている。相手の蹴りをアウーやマカコで避わすのも軽々とこなす。楽しんでいる様子が伝わってくる。でもマルテイロが背中に当たった時、「ドゴッ」て音がしてた・・・。
ホーダの後、カポエイリスタ同士が一人ひとり挨拶を交わし、感謝の意を表しているのが心に残った。
帰り、ヘプブリカの駅近くでストリートチルドレンを見る。「バス174」を思い出した。ブラジルが抱える問題の1つだろう。彼らはどうなっていくのだろうか。
夕食は駅付近にあった日本料理屋へいく。2人はヤキソバを頼み、僕はうどんを注文した。これが大失敗。
うどんのくせにラーメンの味がする。さっぱりしたものが欲しかったのに、こてこての味だ。油が見えるな、と思っていたらチャーシューまで浮かんでいた。もはや素うどんではない。結局久が食べてしまった。一緒にカイピリーニャを飲んだ。初めて体験したブラジルの酒だが、どうにも好きになれない。体が受け付けない感じがする。この酒と付き合うと、ろくなことにならないような気がする・・・
写真:Cordao de Auloにて